2016年10月23日日曜日

新作情報 Big Brother、Atterkopなど

さて、巷ではChoking Victimが期間限定で再結成ツアーを行うということで話題になっている。ラインナップが初期メンバーから成り、レアナンバーも演奏するということで注目度が大きい。

しかしツアーはアメリカのみの開催ということで、今回も多くの日本人が涙を飲むことでしょう。(私もその一人です。)


とりあえずYoutubeにライブ動画がアップされることを祈るとして、他のCRSバンド勢によっていくつか新作がリリースされているので紹介したい。


1.Big Brother - Ministry of Plenty



カナダのCRSキング、Big Brotherが2ndアルバム『Ministry of Plenty』をリリースした。
相変わらず、サウンドが濃いです。

Ian Wilkinsonがベースの弦をブンブン弾かせながらハードコアに歌い、攻撃的なビートで攻め倒しています。
スカの展開がエグい、これぞCrack Rock Steadyというようなナンバーもあり。
盟友The Stupid Stupid Henchmenが参加しているナンバーも見所だ。

速い曲だけでなく、スローなナンバーがあったりレゲェのナンバーもあったりして、Big Brotherのバリエーションの高さも伺える。

前身バンドであるCorporationやGhetto Blasterが解散した後も、新しいサウンドを作り続けているBig Brotherの力強さが感じられる作品です。




2.Atterkop - Liber Abaci


ミスターRiot SkaことChrisが率いるUKのCRSバンド、Atterkopがようやく1stアルバム『Liber Abaci』をリリースした。

Atterkopと言えば、Dub使いのCRSバンドだ。
デビュー作となった前作のEPではCRS、Dubの激しいミクスチャーサウンドを聴かせてくれたが、やや味気なさが感じられた。しかし今作品はDubの使い方に巧みさが感じられ、色濃く仕上がっている。
攻撃的な部分がありながらも一変して静かな曲調になったりして、どう転ぶか分からない展開が面白い。

総じて、この作品は素晴らしいと思います。他のCRS作品には見られない、Atterkopの世界観が楽しめます。

今回作られたPVもアニメになっていて面白いのでぜひご覧下さい。





Dubと言えば、ドイツのCRSバンドBraindeadもConscious Youthとの簡単なスプリットをリリースしてるので紹介までに。(bandcamp
こちらもかなりDubい作品になっています。

2016年8月16日火曜日

#99 The Riot Gang




もう1つロシアから紹介。


The Riot Gang はロシア西部に位置するサンクト・ペテルブルグ出身の4ピースPunkバンド。
2006年から活動を行っている。これまでリリースした作品も多い。


特にCrack Rock Steadyを意識しているバンドではなさそうだ。
しかしThe Riot Gangと付いたバンド名には好感が持てるし、サウンドもCRSに近いものがあり、決して受けつけないバンドではないと思う。


近年の音源はちょっぴり爽やかな感じだが、初期の音源は荒々しさがあってよい。
個人的に好きな作品は Liberty City Streets 。ぜひ聴いてみてほしい。


国:
ロシア

メンバー:
Tomas - ギター/ボーカル
Prickly ベース/ボーカル
Sasha - ギター/ボーカル
Kirill Kip - ドラム/ボーカル

活動期間:
2006年~

作品:
2008 - One Life One Chance
2010 - Liberty City Streets
2011 - Stop The Time
2013 - Ghosttown EP
2013 - This Sinking Ship
2014 - State Of Emergency EP
2015 - Soma


#98 Слотаный Понотаный(スロタニー・ポノタニー)


The Poseurs といい King of the beards といい、ほんとロシアのCRSバンドはレベルが高い。


スロタニー・ポノタニーは、ロシアのカムチャッカ半島南東部に位置するペトロパブロフスク・カムチャツキー出身のCRSバンドだ。
北海道の右上の方にある半島と言えばなんとなくわかるだろう。


さてさて、音源を聴いてこれだけワクワクしたのも久しぶりだ。
アルバム #заканчиваймолиться はCRSビートをふんだんに詰め込んだ最高のアルバムに仕上がっている。

メロディックなサウンドとダークなサウンドのバランスが良く、シャウトやラップを巧みに取り入れて慌しく展開するCRSビートを聴かせてくれる。
若干、Atrocity Solution の Lost Remedies を思わせるようなナンバーもあったりする。

全曲をロシア語で歌っているが聴きづらさは全くなく、むしろロシア語特有の力強い発声がSKAと合っていて心地良い。(メキシコ勢が歌うスペイン語なんかもそう感じられる。)


自らの音楽スタイルをCrack Rock Steadyとはっきり明言していることからも、彼らもまたCRSに憑りつかれている人間たちであることがわかる。
そのCRS愛が最高のCRS作品を生み出したのだろう。


国:
ロシア

メンバー:
Костя Кудрин
Артем Урунов

活動期間:
2013年~

作品:
2013 - Demo
2016 - #заканчиваймолиться



2016年8月14日日曜日

V/Aもの その⑮

今回はV/Aものを2つ紹介します。


今後のCRSシーンはこの2つの音楽レーベルにかかってると言っても過言ではない。
新鋭CRS系レーベルとして頭角を現してきたアメリカの No Time Records とメキシコの Satanic Geek Mafia Records が、それぞれ同時期にコンピレーションアルバムをリリース!


まず、No Time Records は、今を彩るCRSバンドが満載の25曲入りコンピ No Time For Fun Vol. 2 をリリース!


Positive Junk や Night Gaunts など、有名どこのCRSバンドが名を連ねる中、やはり Public Serpents が参加してる点は特記事項と言える。

レゲェっぽくもクラックロックな曲作りはやはりSkwertにしかできません。去年から再始動した Public Serpents だが、完全復活が待ち遠しいです。これを聴くだけでも十分に価値があると思います。

あと、Big Brother の曲も勢いがあっていい。他の曲もイカした曲が多い。ヤバいっす。

本アルバムは当然のごとくフリーダウンロード可能だが、今回はカセットでの販売があります。このご時勢にカセットを購入するのは気が引けるが、マニアの方はぜひご購入下さい。(笑)


続いて、Satanic Geek Mafia Records はなんだか車が炎上しちゃってる20曲入りコンピ The State vs The People をリリース!



こちらも凄いです。
なんたって、我らが日本のバンド U Can't Say No! と Brainwash Victim が参加してるんだから!
やってくれましたね~。

Satanic Geek Mafia Records はこれまでも日本のバンドに好意を抱いてくれており、日本とメキシコに謎の友好の架け橋が結ばれていることは日本政府も知らないだろう。

本アルバム、Satanic Geek Mafia Records らしく粗く激しいナンバーが多い。
2曲目とかなんですかこれ。ちょっとまたヤバいバンドが出てきたようです。追って紹介することにしましょう。

知る人ぞ知るアメリカのグラインドコアバンド ACxDC も参加していたり、Niño Zombi も参加していたりと、意外とゴツい内容ですこのアルバム。
聴けばこの夏をさらに熱くしてくれること間違いなし!
もち、フリーダウンロードできるようです。


ここのところやや勢いが落ちて下火になりつつあるCRSシーンだが、これらのアルバムは「CRSはまだ死んでねぇぜ!!」と言う彼らの叫びが聞えてきそうなアルバムであると思います。

CRSの火をまだまだ途絶えさせませんよ~。

2016年6月25日土曜日

新作情報 [Brainwash Victim - Attack from the safety zone E​.​P.]

さて、わが国が誇る唯一の Crack Rock Steady バンド、Brainwash Victim が New EP Attack from the safety zone E.P. をリリースした。

本作品はメキシコのCRSレーベル Satanic Geek Mafia records でも音源がアップされ、ロシアのCRSコミュニティサイトでも取り上げられるなどして、世界各国で話題を集めている。
そんな、世界に飛躍しつつある彼らの新譜をとくと紹介したい。


まず、自分はジャケットに目がいった。
Leftöver Crackの1stアルバム Mediocre Generica のジャケットを彷彿とさせるフォト、そして字体。いや、これはもう完全に寄せにいってると確信したい。

しかし、これ以上に驚かされたのが前作 ACTION AND REACTION E​.​P. より格段にレベルアップしたサウンドだ。

のっけから悪魔のギターサウンドが響き渡り、直後に疾走パンクビートにチャンジし、そしてスカへと変貌し、またパンクのビートに戻る。そんなえげつない展開を見せるナンバー Attack from the safety zone で本作品は幕を明け、じわりじわりと Crack Rock Steady の世界へといざなってくれる。

やはりAYUMiX氏の殺人ギターは凄かった。
ギターのリフは洗練され、パワフルさを増し、そしてボーカルけーす氏のシャウトもキレが増している。
スカのサウンドをバックにけーす氏がラップで攻めるナンバー Gloomy Gus はもう最高だ。

でも、最後の2曲はちょっぴり爽やかなスカのナンバーだったりするので、こういうところが憎いですね。
bandcamp で全曲の歌詞を確認することができるのだが、何気にほとんど日本語で歌っていることに驚きました。全然日本語で歌ってるように聴こえません(笑)

すべてにおいてキレ味が鋭くなり、そしてコクが生まれている。素晴らしい Crack Rock Steady 作品が生まれたのではないでしょうか。本作品は間違いなく世界基準の Crack Rock Steady サウンドに仕上がっています。

本作品は bandcamp からダウンロードできる他、店頭でのCD販売もされているようです。


2016年5月29日日曜日

新作情報 [Thee Infidels - All We Got]


ドイツのCRSバンド Thee Infidels が4月にセカンドアルバム All We Got をリリースしてたので紹介しておきます。


いやー、今回もパワフルに仕上がってます。
Thee Infidelsらしいメロディックで疾走感たっぷりのサウンドでのっけからぶっ飛ばしてます!


とりあえず3曲目までは軽くCrack Rock Steadyチューンで流していて、4曲目にシャウトしまくりのハードコアなナンバーをぶち込んでおり、ここでガツンとやられます。その次の曲Fun Sucksが爽やかスカチューンなもんだから、情緒不安定になること間違いなし。


今作は前作の Evilution に比べてダーク感は控えめな感じはあるど(ジャケットのアートからしてそうだが)、間違いなく”イケ”てるアルバムに仕上がってます。
もちろん聴かない選択肢はありません。

Check it out!




2016年5月28日土曜日

#97 One(8)Seven

本日、Twitterをチェックしていたら驚きのニュースが目に飛び込んできた。
「One(8)Sevenのフロントマン、Gringoが亡くなった」と。(ツイートをしたのはRiot Ska Recordsである。)

One(8)Seven(ワン・エイト・セブン)のことはずっと前から知っているし音源も持っている。
ただそこまで熱心に聴いてこなかったのは事実である。

今日、そのニュースを見て改めて彼らのサウンドを聴いてみたくなったので音源を漁ってみた。
そこには男Gringoによる魂の入った熱い叫びがあったことをお伝えしたい。



One(8)Sevenは2010年に結成されたルクセンブルク出身の6人組Crack Rock Steadyバンド。
楽器を持たないボーカルが2人おり、ラップを織り交ぜながら交互に歌う歌うスタイルをとっている。

軽快なスカのカッティングと重いCrustのリフを交互に切り替える展開はまさにCrack Rock Steadyビート。
そこに情緒的なメロディラインも乗せてエモーショナル感を出すあたりは技巧派と言える。
何より、坊主でいかつい風貌のボーカル、Gringoの腹奥底から放たれるえげつない叫びからは熱いものが感じられ、聴けば間違いなく"Crack Rock Steady"であることを感じ取れるバンドである。

Gringoの熱い叫びは唯一のアルバム Defense Starts With Heart で聴くことができる。

こんなにもかっこいいバンドがいながら彼らのことをもっと早く紹介できなかったのが残念でならない。
遅ればせながら、Crack Rock SteadyバンドOne(8)Sevenのことを知ってもらいたいと思う。

R.I.P.


国:
ルクセンブルク

メンバー:
Gringo - ボーカル
Dany Le Loup - ボーカル
Danny Epstein - ギター
Joe Lentz - ギター
Ben Hilges - ベース
Charel Kemp - ドラム

活動期間:
2010年~

作品:
2012 - Defense Starts With Heart





2016年2月20日土曜日

新作情報 [The Stupid Stupid Henchmen - Songs Stuck In Purgatory]


The Stupid Stupid Henchmen が1月初旬にニューアルバム Songs Stuck In Purgatory を bandcamp からリリースしているので紹介しておきたい。


今回のニューアルバムは前作 Charmingly Demonic 以降に制作された音源の他、概にある曲を別バージョンで録り下ろした音源などを集約したコンピ的作品となっている。色んなレーベルのサンプラーやオンライン上に点在していた楽曲がこのアルバム一つにまとめられているので、ファンとしては嬉しいニューアルバムだろう。


The Stupid Stupid Henchmenと言えば忠実にSkaをアウトプットしながら大胆にSatanic(悪魔っぽさ)を表現する巧妙なCRSバンドだが、初期の音源はそれこそ酷くて聴けたもんじゃなかった(それが彼らの持ち味でもあったが)。しかし近年の彼らのサウンドは質が向上しており、もはや職人芸とも言えるサウンドになっている。それもそうだろう。The Stupid Stupid Henchmenは結成から18年経つベテランバンドになったのだから。

アコースティックで巧みにCrust Skaを演奏した Two Months Off  や、レゲェちっくに仕上げた AgoraphobeFeelin' Lush を秀逸なナンバーと言わずしてなんと表現したらいいかわからない。
Choking Victimが演奏するCrack Rock Steadyとはまた異なる彼らのサウンドは必聴だ。(但し本作の18曲目以降はボーナストラック的な感じで聴くべきだろう。)


そういえば bigcartel で彼らのマーチを買えるようになったのでこちらもオススメです。私も買いました!




2016年1月16日土曜日

新作情報 [Night Gaunts - Conversations With Creation]



ニュージーランドのファニー野郎たちが集うCRSバンド Night Gaunts が新譜 Conversations With Creation をリリース!

前作 Love Life & The Devil から3年ぶりのリリースということで、MVまで作る気合の入れよう。今作を待ちわびたファンは多いんではないでしょうか。

今作はNGらしさ漂うファンキーでシンガロングなスカチューンが組み込まれてるのはもちろんのこと、後半にかけてはジャジーでしっとりしたサウンドで酔わせてくれ、めちゃくちゃ楽しませてくれる。

名作の1stアルバム Full Body Tourettes [Pt II] に比べれば随分Angryさが減ったなと感じるが、もはや彼らにはCRSバンドの銘を付けるのがおこがましいくらいユニークなバンドになってるので、もっとメジャーに知られるバンドになって欲しい。

さて、Night Gauntsと言えば今巷で一番来日の可能性が高いCRSと噂されてますが、果たして来日は・・・。

Come to Japan!!!!



2016年1月10日日曜日

アルバム『Constructs Of The State』 解説・レビュー


アルバム『Constructs Of The State』がリリースされて以降、自分はこれ以外のパンク作品が聴けない状態にいる。

Leftöver Crackの11年ぶりとなるフルアルバム『Constructs Of The State』がリリースされてから1ヶ月余り経つが、アメリカの巨大パンク通販サイト Interpunk では売上ランキング1位の状態が続いている。大手パンク情報サイト Punknews.org ではスタッフの Ricky Frankel 氏によって2015年のベストアルバムに選ばれた。このアルバムが波紋を呼んでることは間違いない。

言うまでもなくLeftöver Crackは“Crack Rock Steady”のリーダー的存在であり、その音楽性に影響を受けたバンド(いわゆるフォロワー)が数多く誕生している。昨今、彼らフォロワー勢の作曲センスは高まってきており、先輩であるLeftöver Crackを追い抜いてしまうんじゃないかと思うような素晴らしい作品を作り上げている。しかし、今回そんなフォロワー勢を圧倒的な力でねじ伏せてしまうかのような強烈なアルバムをLeftöver Crackが作り上げてしまった。そんなLeftöver Crackのニューアルバム『Constructs Of The State』について徹底的に解説・レビューしていきたい。


やはり特筆すべきはゲストの多さ。
クレジットを見ると、ゲストの名前がびっしりと書かれている。無名のアーティストから大物まで様々。未だかつてこんなにゲストが登場するパンク作品はあっただろうか。凄い所で言うと、80年代UKアナーコ・パンクの代表格バンドCRASSのドラマーであったPenny Rimbaud氏の名が(彼が御歳72歳だということにも驚きだが)。
Crack Rock Steayはあらゆるジャンルの音楽を飲み込む形態から、あらゆるアーティストを飲み込む形態に進化してしまったようだ。
もちろん、これが出来るのはLeftöver Crackだけだろうが。登場するゲストを楽しみながら聴くのが今回のアルバムの醍醐味だろう。

さて、サウンドはと言うと、前作の『Fuck World Trade』に比べて間違いなくハードさがアップしている。前作はかの同時多発テロを題材にしたこともあってか、まるでテロの犠牲者を偲ぶような暗いサウンドになってる印象を受けたが、今回のサウンドはまさしく音で押し殺すような力強いサウンドになっている。ハードコア~クラスト度を増強させながらそこにスカをブレンドし、フォークやスラッシュメタル、オールドロック、エレクトロニックといった要素をもブレンドさせ、これまで以上に色んな要素が絡み合っているので楽しくて仕方が無い。こんなパンク作品は唯一無二であり、自分がこれ以外のパンク作品を聴けない所以はこれだ。

アルバムを聴いてると、中でも一番楽しませてくれたナンバーは『System Fucked』だ。90年代スカコアムーヴメントの筆頭、Operation Ivyでボーカルを務めたJesse Michaelsとの奇跡の競演ナンバーなんだから、スカコアファンの心が躍らないわけがない。

他のスカのナンバーを見ていくと、『Corrupt Vision』はスカからクラストへの変貌ありのまさしくCrack Rock Steadyなナンバーだ。気付いてない人が多いと思うが、この『Corrupt Vision』と『¡Poliamor Fiesta Crack!』はNo Commercial Valueのナンバーをリメイクしたナンバーになっている。(No Commercial Valueを知らない人はこちら)No Commercial Valueの音源を持ってる人はぜひどの曲かぜひ探し当ててみて欲しい。

これらの曲以外にも、今回のアルバムは色んな所から音源を引っ張ってきている。一際湿っぽいナンバー『Last Legs』はフォーク・パンク・バンドBlackbird Raumのカバー曲であり、本人らも歌う豪華仕様になっている。この曲のしっとりさが次のハードなナンバー『The Lie of Luck』を一層際立ていて最高だ。なお、オリジナルは2015年作のアルバム『Destroying』で聴くことができる。

アルバム最後のナンバー『The War at Home』に至ってはIntro5pectの2007年の作品『Realpolitik!』に収録されているナンバーをそのまま持ってきたナンバーだからもはや反則。しかし文句の付けようがないこのかっこよさ。こんないけいけどんどんなナンバーを聴き終わったあとにやってくるのは間違いなく祭りの後感なわけで、めちゃくちゃ罪なナンバーです。

その他の解説しておくと、メロディックなリフと疾走感とシャウトが最高な『Bedbugs & Beyond』で歌ってる女性はカリフォルニア州オークランドのハードコアバンド REIVERS のKate Coysh。無名に近いアーティストを起用してのこの仕上がり度、パない。

今回のアルバム、女性ボーカルの起用率が高いので間違いなく感じられるのはStar Fucking Hipstersっぽさだろう。これは勝手な解釈だが、女性にも主張する権利があるんだぜというStzaの思いがあるように感じられる。無名のアーティストを多く起用してるのは、アンダーグラウンドシーンで必至に叫ぶ彼らの存在や主張にもっと目を向けるべきというStzaの思いやりがあるのではないかと。実際、StzaとNoFXのFat Mikeはアコースティック演奏するSamというホームレス女性の動画を見て、共同で彼女をプロデュースさせたという話がある。彼女は Closet Fiends の名で今度Fat Wreck Chordsからデビューする。

色々書いてきたが、個人的に一番好きなナンバーだけ言っておくと『Don't Shoot』だ。ザクザク刻むリフがかっこよく、歌詞がアンチポリス的な歌詞で、Stzaのシャウトがキマってて、一番Leftöver Crackらしさが出てるようなナンバーなので。そんなStzaも今年で40というから、まだまだ頑張ってもらいたい。

最後に、今回のアルバムのクレジットにはEzraの名前は書かれていない。EzraはもうLeftöver Crackのメンバーではないということを我々は再認識しなければいけないが、次はMorning Gloryや再始動したPublic Serpentsとのコラボがあるかなと期待しつつ、他のフォロワー勢の作品も楽しみにしたい。