2012年11月24日土曜日

新作情報 [Beng Beng Cocktail - Choices]


Crystalcore(クリスタルコア)でおなじみ、Beng Beng Cocktail の新作が発売されました。通算で2枚目のオリジナル・アルバムです。

はっきり言って、これはヤバい。前作は全体的にダークな雰囲気が漂っていたが、今回は明るくはじけている。ピアノとストリングスを取り入れたりはしているものの、アコースティックギターだけでこんなにも壮大なサウンドに仕立て上げられるものかと。スカのビートの本当に心地よく感じられ、進化したクリスタルコアを聴ける1枚になっている。The Stupid Stupid Henchmen のカバー曲もあるが、ほとんど原形をとどめていないところが良い(笑)。

かつてスカコア・シーンにおいて、Choking Victim が Crack Rock Steady なる音楽を作り上げて、スカコアは邪悪な音楽へと変貌した。そして彼らに追従するバンドが次々と現れ、スカコアをさらに邪悪なものへと進化させていった。BBC の前身バンドである Skapsom もそうであった。しかし今、BBCは邪悪さを取っ払い、アコースティックギター(ベース)の透明なサウンドだけで音楽を奏でている。つまり、恐怖だとか不安だとか、自分を取りまとう悪い事象を全て取っ払い、己の奥底に眠っている純粋な魂(クリスタルコア)を呼び覚まして前に突き進んで行くべきだと。そんなメッセージが彼らの音楽に込められているような気がしてなりません。

それはさておき、本当にこの作品は良いです。全てのクラック・ロック・ステディ・ファンに捧げる珠玉の1枚と言ったところ。ビデオ・クリップも見ものです!


購入先:
bandcamp
Pumpkin Records
Riotska Records




2012年11月17日土曜日

#50 Intro5pect



いよいよ50回目のバンド紹介ということで、何か50回目にふさわしいバンドがいないか考えていたら、前に Intro5pect について書いて欲しいという要望があったのを思い出しました(すっかり忘れておりました・・・すみません(汗))。Intro5pect はクラック・ロック・ステディ・バンドでは無いが、Stza と深い関わりのあるバンドなのでぜひとも紹介しておく必要がありそうだ。というわけで記念すべき50回目は、遅ればせながら Intro5pect について書こうと思います。

Intro5pect は、女性のキーボード奏者がいる5人組のエレクトロ・パンク・バンド。Anti-Flag のメンバーが運営するDIYレーベル A-F Records に所属しており、いわゆるA-Fファミリーのバンドとして知られている。Anti-Flag 譲りのポリティカルな姿勢を貫くパンク・バンドでありながら、ファミコンのゲーム音のような電子音をふんだんに取り入れたデジタル・ハードコア・サウンドを武器としている。これがパンクに見事にマッチしており、攻撃性・疾走感・ポップ感全てを兼ね備えたキャッチーなパンクを楽しませてくれる。ノリの良さは抜群で、意外にもパンクキッズたちにウケているようだ。

そんな彼らの作品の中でクラック・ロック・ステディ・ファンを称賛させたのが2007年リリースの7曲入りEP "Realpolitik!" である。Stza がゲストボーカルとして3曲に参加しており、Intro5pect のステージをさらに盛り上げているのだ。ピコピコなる電子音のもと高々に、そして荒っぽく歌い上げるStzaの歌声が最高にかっこよい。Leftöver Crack の曲 "Nazi White Trash" のカバー曲もあり、このハイセンスな仕上がりようははっきり言って鳥肌ものです。

Intro5pect や クラック・ロック・ステディ・バンドらによって今日もパンクのアンダーグランド・シーンは密かに盛り上がっています。まだまだいいバンドがたくさんいるので今後も紹介していきます。

国:
アメリカ

メンバー:
Dave - ボーカル、ギター
Chris - ギター
Sara - キーボード
LandonHell - ベース
Donny - ドラム

活動期間:
1997年~

作品:
1999 - Education EP
2003 - Intro5pect
2007 - Realpolitik! EP
2009 - Record Profits

Website
myspace



2012年11月11日日曜日

#49 Posero



ロシアのバンド The Poseurs と一瞬間違えそうになるような名前のこのバンドは、なんとフィリピン出身のクラック・ロック・ステディ・バンドである。自らの音楽スタイルを "Shitty-Punk-Ska" と言っているように、ちょっとふざけたサウンドを鳴らすバンドである。中途半端に砂利ついた声のボーカルを筆頭にメンバーが自由に喚き立て、ズタズタなパンク/スカ・チューンをプレイしている。でも程よい疾走感とノリの良さがあってちょっとクセになりそうなサウンドです。今やクラック・ロック・ステディ・バンドの登竜門となっている Riot Ska Records から Murder Media とのスプリットEPをリリースしており、クラック・ロック・ステディ・シーンにしっかり名を知らしめているのだ。

国:
フィリピン

メンバー:
Chino – ボーカル、ギター
Gary – ギター、ボーカル
June – ギター
Gen – ベース
Randy – ドラム

活動期間:
2006年~

作品:
2008 - We Eat Shit! EP
2008 - Shame N' Skandal Vol.5(Spam、Skampers、Far From Over、Nevertheless とのスプリット・アルバム)
2008 - Fist Of Punk(Smokey Bandit、The Gags、Castet とのスプリット・アルバム)
2010 - Feeding Program(Murder Media とのスプリットEP)

myspace
riotskarecords.bandcamp.com

PURO KALOKOHAN ANG NANGYAYARI
 ↑ ボタンを押すと試聴できます。

2012年11月10日土曜日

#48 Leper


Murder Meida(アメリカ)と同じように、クラスト/スラッシュのヘヴィなビートにスカをミックスさせたサウンドを鳴らすバンドがカナダにもいる。それが Leper だ。しかも Murder Media よりも結成が早く、よりダークなサウンドなのが特徴。

このバンドについては石月氏のブログ whisperingloom でも詳しく紹介されているので読んでいただくと分かるが、Leper はクラック・ロック・ステディを演奏するバンドと言うよりは「スカの要素を取り入れたブラックメタル・バンド」という認識のほうが強いようである。そのためか、彼らのサウンドについてはネット上で賛否両論のようだ。要は、ハードコア/メタルを聴く人からすればスカのような陽気な音楽をヘヴィな音楽に合わせるという発想が気に食わないらしい。かと言ってスカを好む人からすればちょっと重すぎて敬遠しがちといったところだろう。しかし Leper のようなサウンドは雑食性の強いクラック・ロック・ステディの思想に合ってると思うし、それに、これほどまでに暗くて重いスカを私は聴いたことが無いからレアなのではないか。クラック・ロック・ステディ・ファンであればぜひとも受け入れてもらいたいバンドである。

国:
カナダ

メンバー:
Grimey Goo - ボーカル、ギター
Scara - ベース
Science Guy - ドラム

活動期間:
2004年~

作品:
2005 - Reclaim The Streets(69BSD とのスプリット・アルバム)
2006 - Embarassed To Be Human
2007 - Eviction Party / Leper(Eviction Party とのスプリット・アルバム)
2008 - Mobilize / Organize(Eleutheros とのスプリット・アルバム)
2009 - End Progress

myspace

2012年11月3日土曜日

#47 Murder Media



Murder Media は、サウスカロライナ州コロンビア出身の5人組クラック・ロック・ステディ・バンド。クラストコア~スラッシュ・メタル寄りのゴリゴリとしたビートを基調とし、それにスカをブレンドさせたデス系サウンドをプレイしている。それは聴く者に絶望感を与える破滅ビートだ。ボーカルのノイジーな絶叫はまさに絶望に満ちたもの。Choking Victim や The Stupid Stupid Henchmen らとは違う、真っ暗闇な世界観のクラック・ロック・ステディを演奏するバンドである。作品を聴くなら2009年作のEP "Equality: The Price of Civilization" がオススメ。

国:
アメリカ

メンバー:
Brandon - ボーカル
Peyton - ギター
Billy - ギター
Matt - ベース
Tommy - ドラム

活動期間:
2006年~

作品:
2008 - You're Welcome EP
2009 - Equality: The Price of Civilization EP
2010 - Nothing In This World Was Put Here For You EP
2010 - Feeding Program(Posero とのスプリット・アルバム)

myspace