2012年7月28日土曜日

#30 Evil Empire


ジャジーなスカビートを演奏する8人組CRSバンド。前回紹介したバンドTrikeと盟友であり、彼らと同じくシカゴエリアを拠点に活動している。男性7人に女性1人という多人数でメンバー構成されており、パーカッション、サックス、トランペット奏者がいてジャズっぽい音色を轟かせている。でも実際はそんなお洒落なもんではなくて、ボーカルがギャーギャー吠えまくって1人破滅状態になっているからカオス極まりない。スカの中にヒップホップを取り入れたり、ゆるいスカビートから急に速いハードコアビートに変化する曲をやったりと様々な曲展開を楽しませてくれるバンドでもある。そんな彼らのサウンドがまるごと聴ける2006年リリースの1stアルバム"Does This Genocide Make Me Look Sexy"は、スカパンクにおける隠れた名盤との呼び声が高い作品である。

国:
アメリカ

メンバー:
Ben - ボーカル
Curtis - ギター
Jeff - ギター
Johnny - ベース
Dave - ドラム
Mikey - パーカッション
Brandon - サックス
Katie - トランペット

活動期間:
2002年~

作品:
2004 - Evil Empire Sucks Demo
2006 - Does This Genocide Make Me Look Sexy
2008 - Dead Space City EP



2012年7月22日日曜日

#29 Trike



かつてシカゴ周辺のライブハウスで人気を博していたのがこのバンド。シカゴ郊外の小さな町で育った彼らはハードコア、スカコア、クラック・ロック・ステディを聴いて影響を受け、3ピースバンドを結成。一体その小さい体のどこにそんなエネルギーがあるのかと思うくらいライブでは激しく絶叫しまくって、アグレッシブな演奏を見せていた。アルバムは自己製作によってリリースされている。サウンドは全体的に荒削りな感じが否めないが、疾走感と若さ溢れるCRSビートを聴かせてくれる。このままCRSシーンを突っ走っていくのかと思ったら、2007年からバンド名を The Hypnic Jerks に変えてRamones風のポップ・パンクをやり始めてしまった。でも、これが結構いい感じなのだ(笑)。

国:
アメリカ

メンバー:
P-trike - ボーカル、ギター
B-train - ボーカル、ベース
Mikey - ドラム

活動期間:
2003~2007年

作品:
2005 - The American Nightmare
2007 - These Things Dont Just Go Away EP

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2012年7月21日土曜日

#28 Niño Zombi

   

メキシコのスカ(メキスカ)は死んだ、俺達が新しいスカ・シーンを作ってやるぜ!!そんな勢いで力強いゾンビ・パンクスカ・サウンドを轟かせるメキシコのCRSバンド。ボーカルのDaNは力の入ったスペイン語で絶叫しまくりで、各々の楽器がマシンガンのように性急スカビートを繰り広げ、ホーンがバックで奇妙に鳴り響いている。それはまるでホラー映画を見ているか、もしくはゾンビの軍隊によるパレードを聴いているかのようなスリリングな感覚にさせてくれる。それがゾンビ・パンクスカだ。とにかく破壊力がハンパ無い。それともう一つ、このバンドにはStzaがゲストとして加わることがあり、その時にはメキシコ版CRS7とも言える"The Crack Rock Steady Siete"としてゾンビサウンドとクラッキンボイスを共鳴させ合っている。2006年リリースの1stアルバム"Sembrando el Terror"と2007年リリースのEP"Zombie Army"でそれを聴くことができるから、ぜひチェックしていただきたい。

国:
メキシコ

メンバー:
DaN Zombie - ボーカル、ギター(2003~)
Billy - ギター(現在)
Rudy - ベース (現在)
Jose - トロンボーン(現在)
Danny - トロンボーン (現在)
Benjamin Estrada - ベース(2003~2008)
Nelson Ruiz - ベース(2009)
Gonzalo Razo - ドラム(2003~2007)
Alex Alanya -ドラム(2009-2010)
Eduardo Lizarraga - ドラム(2011~2012)
Sergio Acosta - トランペット(2003~2008)
Cristian Tapia - トロンボーン(2005~2008)

活動期間:
2003年~

作品:
2004 - Los Zombies que aterrorizaban nuestra ciudad Demo
2006 - Sembrando el Terror
2007 - There's no Stupid Solution for the Zombie Operation(OFC、Atrocity Solution、The Stupid Stupid Henchmenとのスプリット・アルバム)
2007 - Zombie Army EP
2010 - The Undead EP




2012年7月15日日曜日

#27 The Infested


CRSファンの間で絶大な人気を誇るのがこのバンド、The Infested だ。実際のところ、一番好きなCRSバンドとしてこの名前を挙げる人が多い。とにかくポップで、ノイジーで、パワフルで、エネルギッシュなスカ/パンク/ハードコア・サウンドを聴かせてくれる。2008年にリリースされた1stアルバム"Myths, Lies And Hypocrites"は誰もが認めるであろう最高の出来になっているが、幾多の困難を乗り越えて製作された1枚でもあることを伝えておきたい。

The Infested は2004年にイギリスのリーズで結成され、Gがメインボーカルを努める3ピースバンドとして活動をスタートした。間もなく4人目のメンバーも加わってDemo盤とEP盤を製作し、2005年と2006年にはそれぞれ The Crack Rock Steady 7 と Leftöver Crack のヨーロッパツアーで前座を務めてCRSバンドとしての地位を確実に築いていった。だが2006年は、5人目のメンバーとして加入したCallumが亡くなるという彼らにとって辛い年でもあった。その後も次々とメンバーが脱退していくが、それでもGは新しいメンバーを募ってバンドを維持し続け、2008年にようやく1stアルバムのリリースにこぎつけた。歌詞カードの裏に"このアルバムをCallumに捧げる"と書かれているのが何とも切ない。現在オリジナルのメンバーはGだけになっているが、何があっても止まらないという彼の前向きな姿勢が最高のアルバムを生み出したのだろう。

国:
イギリス(イングランド)

メンバー:
G - ボーカル、ギター(2004~)
Lee - ギター(2004~2006)
Callum - ギター(2006)
Phil - ギター(2008~)
Chris - ベース(2004~2007)
Dullah - ベース(2008)
Dave - ベース(2009~)
Knox - ドラム(2004~2008)
Dazzler - ドラム(2009~2011)

活動期間:
2004年~

作品:
2004 - Buy To Survive Demo
2005 - The Infested EP
2007 - Demo
2008 - Myths, Lies And Hypocrites
2011 - Split EP(Officer Downとのスプリット・アルバム)




2012年7月14日土曜日

#26 Beng Beng Cocktail


ベン・ベン・カクテルと読む。独自のスタイルで革新的なクラック・サウンドを鳴らすフランスの3ピースCRSバンド。前回ちょっとだけ紹介したように、Skapsom のメンバーらによって結成されたバンドである。しかしこのバンドにはドラマーがいない。アコースティック・ギター2人+アコースティック・ベース1人というスタイルをとっている。つまり、Skapsomで演奏していたような薄汚れたスカコアをアコースティックの澄んだ(クリスタルな)音だけで演奏してしまおうというのが彼らのスタイルだ。彼らはこのスタイルを"クリスタルコア"と提唱している。クリスタルコアのサウンドは全体的に暗いが、この気だるい苦痛な世の中を上手く表現しているし、同時に拳を上げて強く生きれというエールを私たちに届けてくれる。
1stアルバム "From the Swallow to the Bottle" は、Public Serpents や Union Jack、The Stupid Stupid Henchmen などがゲストボーカルで登場するという超豪華な内容だ。

国:
フランス

メンバー:
DA OJ - ボーカル、ギター、リズム
Befa - ボーカル、ベース
Skal - ボーカル、ギター

活動期間:
2007年~

作品:
2008 - Demo: Close Your Ears And Smell Your Teeth
2008 - DIY Crystalcore EP
2009 - From the Swallow to the Bottle
2011 - Track The Virus(Atrocity Solution、My Own Religionとのスプリット・アルバム)

ウェブサイト
myspace



2012年7月7日土曜日

#25 Skapsom


改めて言うまでも無いかもしれないが、Crack Rock Steadyというのは大衆向けの平凡なロックとは違い、極限までに怒りや憎しみを追求した薄暗い世界観のロックで、ファンもごく一部である。しかし、ここ最近のシーンの盛り上がりようは異常である。凄いバンドが次々と誕生しているからだ。特にFrom The Cradle To The Rave、Anti-Venöm、Night Gauntsなどはズバ抜けたセンスを持っている。きっと今回紹介するこのバンドだって、結成されていなかったらシーンはそれほど盛り上がっていなかったかもしれない。
Skapsomは、Choking VictimやAntimaniaxなどのバンドの影響を受けてUnion Jackの後を追うようにフランスで結成されたバンドである。だが、明らかにそれらのバンドとは違った凄まじいセンスを放っている。ギターは空間を切り裂くかのようにバシバシと攻めて来て、ベースはスラップしまくりで激しく動き回り、ボーカルはクールなハードコアボイスで歌い上げているのだから魅了されること間違いなし。もっとも、このバンドの解散後に結成される"Beng Beng Cocktail(BBC)"ではそのセンスが前面に打ち出されるわけだが。ということで、次回はBBCについてもう少し詳しく述べたいと思う。

国:
フランス

メンバー:
Skal - ボーカル、ギター(2003~2007)
Alex - ボーカル、ギター(2007)
Befa - ボーカル、ベース(2003~2007)
Clax - ドラム(2003~2007)
Fab - ドラム(2007)

活動期間:
2003~2007年

作品:
2005 - Irreversible?

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2012年7月1日日曜日

#24 Misspent Youth


フランスの英雄、Union Jackが結成された翌年、同じくフランス・パリで結成された4人組CRSバンド。彼らに関する情報は少ないのだが、自己製作された唯一のアルバムを聴けば彼らの凄さがすぐに分かるはずだ。サイレン音とけたたましく鳴るドラム音から1曲目は始まり、ギチギチと唸るベースとディストーションでぶ厚く歪んだギターも入ってきて、何かヤバそうなことが起こりそうな雰囲気を感じさせる。その予感は的中し、2曲目で強烈なハードコア・チューンをかましてくる。その勢いのまま全曲突っ走っていくのかと思いきや、3曲目でスカ・チューンを投入。だがそのカッティング音は耳障りなほどガチャガチャしていてノイジーで、これまたノイジーなボーカルの声とかぶさってカオスな世界観を生み出している。そんな感じでダーティーなスカ・チューンとハードコア・チューンが交互に続き、聴いているだけで手に汗が滲んできて思わず「ファッキュー!!」と叫びそうになってしまう。

国:
フランス

メンバー:
Romain - ボーカル、ギター
J.B. - ギター、バックボーカル
Arnaud - ベース
Adrien - ドラム

活動期間:
1998年~?

作品:
2004 - Misspent Youth

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