2017年4月15日土曜日

新作情報 [Beng Beng Cocktail - Like A Brother]

先月、フランスのCrack Rock Steady/Crystalcoreバンド Beng Beng Cocktail のニューアルバム『Like A Brother』がリリースされた。

Jonが脱退し、SkalとBefaだけの2人体制のバンドになってから初めての音源リリースとなる。
もっともBBCは解散が危ぶまれていただけに、今作のリリースによってバンド復活を成し遂げたことは一ファンにとって嬉しい限りだ。
彼らの存在、そしてユニークなサウンドはCrack Rock Steadyシーンには絶対に欠かせないと言える。


そんなわけで、今作について内容を紹介しつつレビューしていきたい。





今作『Like A Brother』は全曲ホームスタジオでレコーディングされ、ジャケットのアートは Nico Demettre 氏によって手がけられた。
全14曲入りとなっている。

しょっぱな、思わず口ずさみたくなるようなスロウなスカのナンバー『Fucking Rudeboy』でガツンとやられます。
アコースティックギター/ベースだけで奏でられるCrack Rock Steadyはホント味があってたまりません。これがCrack Rock Steadyシーンには絶対必要なサウンドなんです。

だが、サウンドにややチープさを感じたのも事実。
やはり2人体制ということで、何か物寂しい感じがします。

しかし、しばらく聴いてるうちにその疑念は打ち消されました。
ラップは変わらずかっこよく、歌い方に男気があり、スカの躍動感がヒシヒシと伝わり、2人だけでも十分な熱量が伝わってきます。
むしろ、初期の音源の荒々しさと、前作の繊細さがうまくミックスされ、聴きやすくなっているようにも感じます。

今作は特に6曲目以降の盛り上がりようが素晴らしく、絶対にフィジカルを手に入れて周囲に広めてほしい1枚であると言えます。






2017年2月5日日曜日

新作情報 [Union Jack - Supersonic]

今年初めての投稿になります。

昔みたいに頻繁にブログを更新する余裕が無くなってきましたので、今年も不定期にゆる~く投稿していきたいと思います。よろしくお願いします!


さて、今年初の投稿はこちら、Union Jack の新作紹介!



今年、20周年を迎えるフランス・パリのCRSバンド Union Jack がニューアルバム Supersonic をリリース!
スタジオアルバムとしては5年ぶり、通産3枚目のリリースとなります。

20周年という長いキャリアが示す通り、だいぶサウンド作りに磨きがかかってきています。

スカはもちろん、メロ、ハードコア、Hip Hop、テクノっぽい要素も織り交ぜられていて、ギターや電子音の入れ方が妙なもんです。フランス・パリという土地柄のせいでしょうか、サウンドが全体的にお洒落なこと。
でも、Crack Rock Steady の要素もしっかり入っています。

ちょいと暗めだった前作に比べて明るさがあり、とても聴きやすいです。

とりあえず bandcamp で全曲視聴できますが、そちらからはCDの購入はできません。
CDは Beer Records Store から購入可能になっているので、この際まだ入手できていなかった作品と合わせて購入してみてはいかがでしょうか~。





2016年10月23日日曜日

新作情報 Big Brother、Atterkopなど

さて、巷ではChoking Victimが期間限定で再結成ツアーを行うということで話題になっている。ラインナップが初期メンバーから成り、レアナンバーも演奏するということで注目度が大きい。

しかしツアーはアメリカのみの開催ということで、今回も多くの日本人が涙を飲むことでしょう。(私もその一人です。)


とりあえずYoutubeにライブ動画がアップされることを祈るとして、他のCRSバンド勢によっていくつか新作がリリースされているので紹介したい。


1.Big Brother - Ministry of Plenty



カナダのCRSキング、Big Brotherが2ndアルバム『Ministry of Plenty』をリリースした。
相変わらず、サウンドが濃いです。

Ian Wilkinsonがベースの弦をブンブン弾かせながらハードコアに歌い、攻撃的なビートで攻め倒しています。
スカの展開がエグい、これぞCrack Rock Steadyというようなナンバーもあり。
盟友The Stupid Stupid Henchmenが参加しているナンバーも見所だ。

速い曲だけでなく、スローなナンバーがあったりレゲェのナンバーもあったりして、Big Brotherのバリエーションの高さも伺える。

前身バンドであるCorporationやGhetto Blasterが解散した後も、新しいサウンドを作り続けているBig Brotherの力強さが感じられる作品です。




2.Atterkop - Liber Abaci


ミスターRiot SkaことChrisが率いるUKのCRSバンド、Atterkopがようやく1stアルバム『Liber Abaci』をリリースした。

Atterkopと言えば、Dub使いのCRSバンドだ。
デビュー作となった前作のEPではCRS、Dubの激しいミクスチャーサウンドを聴かせてくれたが、やや味気なさが感じられた。しかし今作品はDubの使い方に巧みさが感じられ、色濃く仕上がっている。
攻撃的な部分がありながらも一変して静かな曲調になったりして、どう転ぶか分からない展開が面白い。

総じて、この作品は素晴らしいと思います。他のCRS作品には見られない、Atterkopの世界観が楽しめます。

今回作られたPVもアニメになっていて面白いのでぜひご覧下さい。





Dubと言えば、ドイツのCRSバンドBraindeadもConscious Youthとの簡単なスプリットをリリースしてるので紹介までに。(bandcamp
こちらもかなりDubい作品になっています。

2016年8月16日火曜日

#99 The Riot Gang




もう1つロシアから紹介。


The Riot Gang はロシア西部に位置するサンクト・ペテルブルグ出身の4ピースPunkバンド。
2006年から活動を行っている。これまでリリースした作品も多い。


特にCrack Rock Steadyを意識しているバンドではなさそうだ。
しかしThe Riot Gangと付いたバンド名には好感が持てるし、サウンドもCRSに近いものがあり、決して受けつけないバンドではないと思う。


近年の音源はちょっぴり爽やかな感じだが、初期の音源は荒々しさがあってよい。
個人的に好きな作品は Liberty City Streets 。ぜひ聴いてみてほしい。


国:
ロシア

メンバー:
Tomas - ギター/ボーカル
Prickly ベース/ボーカル
Sasha - ギター/ボーカル
Kirill Kip - ドラム/ボーカル

活動期間:
2006年~

作品:
2008 - One Life One Chance
2010 - Liberty City Streets
2011 - Stop The Time
2013 - Ghosttown EP
2013 - This Sinking Ship
2014 - State Of Emergency EP
2015 - Soma


#98 Слотаный Понотаный(スロタニー・ポノタニー)


The Poseurs といい King of the beards といい、ほんとロシアのCRSバンドはレベルが高い。


スロタニー・ポノタニーは、ロシアのカムチャッカ半島南東部に位置するペトロパブロフスク・カムチャツキー出身のCRSバンドだ。
北海道の右上の方にある半島と言えばなんとなくわかるだろう。


さてさて、音源を聴いてこれだけワクワクしたのも久しぶりだ。
アルバム #заканчиваймолиться はCRSビートをふんだんに詰め込んだ最高のアルバムに仕上がっている。

メロディックなサウンドとダークなサウンドのバランスが良く、シャウトやラップを巧みに取り入れて慌しく展開するCRSビートを聴かせてくれる。
若干、Atrocity Solution の Lost Remedies を思わせるようなナンバーもあったりする。

全曲をロシア語で歌っているが聴きづらさは全くなく、むしろロシア語特有の力強い発声がSKAと合っていて心地良い。(メキシコ勢が歌うスペイン語なんかもそう感じられる。)


自らの音楽スタイルをCrack Rock Steadyとはっきり明言していることからも、彼らもまたCRSに憑りつかれている人間たちであることがわかる。
そのCRS愛が最高のCRS作品を生み出したのだろう。


国:
ロシア

メンバー:
Костя Кудрин
Артем Урунов

活動期間:
2013年~

作品:
2013 - Demo
2016 - #заканчиваймолиться



2016年8月14日日曜日

V/Aもの その⑮

今回はV/Aものを2つ紹介します。


今後のCRSシーンはこの2つの音楽レーベルにかかってると言っても過言ではない。
新鋭CRS系レーベルとして頭角を現してきたアメリカの No Time Records とメキシコの Satanic Geek Mafia Records が、それぞれ同時期にコンピレーションアルバムをリリース!


まず、No Time Records は、今を彩るCRSバンドが満載の25曲入りコンピ No Time For Fun Vol. 2 をリリース!


Positive Junk や Night Gaunts など、有名どこのCRSバンドが名を連ねる中、やはり Public Serpents が参加してる点は特記事項と言える。

レゲェっぽくもクラックロックな曲作りはやはりSkwertにしかできません。去年から再始動した Public Serpents だが、完全復活が待ち遠しいです。これを聴くだけでも十分に価値があると思います。

あと、Big Brother の曲も勢いがあっていい。他の曲もイカした曲が多い。ヤバいっす。

本アルバムは当然のごとくフリーダウンロード可能だが、今回はカセットでの販売があります。このご時勢にカセットを購入するのは気が引けるが、マニアの方はぜひご購入下さい。(笑)


続いて、Satanic Geek Mafia Records はなんだか車が炎上しちゃってる20曲入りコンピ The State vs The People をリリース!



こちらも凄いです。
なんたって、我らが日本のバンド U Can't Say No! と Brainwash Victim が参加してるんだから!
やってくれましたね~。

Satanic Geek Mafia Records はこれまでも日本のバンドに好意を抱いてくれており、日本とメキシコに謎の友好の架け橋が結ばれていることは日本政府も知らないだろう。

本アルバム、Satanic Geek Mafia Records らしく粗く激しいナンバーが多い。
2曲目とかなんですかこれ。ちょっとまたヤバいバンドが出てきたようです。追って紹介することにしましょう。

知る人ぞ知るアメリカのグラインドコアバンド ACxDC も参加していたり、Niño Zombi も参加していたりと、意外とゴツい内容ですこのアルバム。
聴けばこの夏をさらに熱くしてくれること間違いなし!
もち、フリーダウンロードできるようです。


ここのところやや勢いが落ちて下火になりつつあるCRSシーンだが、これらのアルバムは「CRSはまだ死んでねぇぜ!!」と言う彼らの叫びが聞えてきそうなアルバムであると思います。

CRSの火をまだまだ途絶えさせませんよ~。

2016年6月25日土曜日

新作情報 [Brainwash Victim - Attack from the safety zone E​.​P.]

さて、わが国が誇る唯一の Crack Rock Steady バンド、Brainwash Victim が New EP Attack from the safety zone E.P. をリリースした。

本作品はメキシコのCRSレーベル Satanic Geek Mafia records でも音源がアップされ、ロシアのCRSコミュニティサイトでも取り上げられるなどして、世界各国で話題を集めている。
そんな、世界に飛躍しつつある彼らの新譜をとくと紹介したい。


まず、自分はジャケットに目がいった。
Leftöver Crackの1stアルバム Mediocre Generica のジャケットを彷彿とさせるフォト、そして字体。いや、これはもう完全に寄せにいってると確信したい。

しかし、これ以上に驚かされたのが前作 ACTION AND REACTION E​.​P. より格段にレベルアップしたサウンドだ。

のっけから悪魔のギターサウンドが響き渡り、直後に疾走パンクビートにチャンジし、そしてスカへと変貌し、またパンクのビートに戻る。そんなえげつない展開を見せるナンバー Attack from the safety zone で本作品は幕を明け、じわりじわりと Crack Rock Steady の世界へといざなってくれる。

やはりAYUMiX氏の殺人ギターは凄かった。
ギターのリフは洗練され、パワフルさを増し、そしてボーカルけーす氏のシャウトもキレが増している。
スカのサウンドをバックにけーす氏がラップで攻めるナンバー Gloomy Gus はもう最高だ。

でも、最後の2曲はちょっぴり爽やかなスカのナンバーだったりするので、こういうところが憎いですね。
bandcamp で全曲の歌詞を確認することができるのだが、何気にほとんど日本語で歌っていることに驚きました。全然日本語で歌ってるように聴こえません(笑)

すべてにおいてキレ味が鋭くなり、そしてコクが生まれている。素晴らしい Crack Rock Steady 作品が生まれたのではないでしょうか。本作品は間違いなく世界基準の Crack Rock Steady サウンドに仕上がっています。

本作品は bandcamp からダウンロードできる他、店頭でのCD販売もされているようです。